はじめに|「健康のために運動しましょう」が刺さらなくなった理由
正直に言います。
「健康のために運動しましょう」という言葉だけでは、もう人は動きません。
特に、仕事と子育てに追われる30〜40代のパパ世代にとって、
運動は優先順位が下がりやすいものです。
- 時間がない
- 多少の不調は我慢できる
- そのうち何とかなる気がする
ただ、看護師として現場を見てきて強く感じるのは、
この“何とかなる”が一番コストの高い選択になる時代に入っているということです。
医療費は、今後「下がる理由」がほぼない
まず前提として、日本の医療費は構造的に上がり続けます。
これは不安を煽りたいわけではなく、事実として避けられません。
- 高齢化がさらに進む
- 現役世代は減少
- 医療技術は高度化し、コストは増える
結果として起きているのが、
- 自己負担割合の引き上げ
- 「様子見」「経過観察」が増える
- 軽度の不調は“自己管理”前提になる
つまり、
「病院に行けば何とかしてもらえる」時代は、少しずつ終わりに向かっているということです。
問題は「病気」よりも、その一歩手前にある
多くのパパが直面するのは、いきなり大きな病気ではありません。
- 慢性的な腰痛
- 取れない肩こり
- 疲労感が抜けない
- 寝ても回復しない
これらは健康診断では「異常なし」になりやすく、
医療の網からこぼれ落ちやすい不調です。
しかし現場では、
こうした不調を長年放置した結果、
- 通院が必要になる
- 仕事のパフォーマンスが落ちる
- 家族との時間が削られる
というケースを何度も見てきました。
「運動しないこと」は、未来の医療費を先送りしているだけ
ここで誤解してほしくないのは、
「今すぐハードな筋トレをしろ」という話ではありません。
問題なのは、
体を整える行動が“ゼロ”の状態が長く続くことです。
運動をしないことで起きるのは、
- 筋力低下
- 可動域の減少
- 回復力の低下
これらが積み重なり、
**「ちょっとした不調 → いつもの不調 → 治らない不調」**に変わっていきます。
結果として、
運動をしなかったツケを
医療費・通院時間・家族への負担として支払うことになります。
なぜ「予防医療としての運動」が必要なのか
予防医療というと、
何か特別なことを想像するかもしれません。
ですが、看護師の視点で言うと本質はシンプルです。
- 大きく壊れる前に整える
- 病院に行かなくて済む状態を保つ
- 自分でコントロールできる範囲を増やす
この中で、
運動は最もコストが低く、再現性の高い手段です。
薬のような副作用もなく、
正しく行えば、むしろ生活の質を底上げします。
ただし「やり方を間違える運動」は逆効果になる
ここが、よく語られない重要なポイントです。
実は現場では、
- 良かれと思って運動を始めた
- YouTubeを見て真似した
- 家だから安全だと思った
結果、
腰や肩を痛めて受診する人も少なくありません。
つまり、
これからの時代に必要なのは
「運動するかどうか」ではなく、
**「安全な基準で運動できているか」**です。
👉 この点については、
別記事で
「看護師が教える『家で安全にできる運動』の基準」
として詳しく解説しています。
運動は「健康のため」ではなく「家族を守るため」にやる
個人的に、ここが一番大事だと思っています。
パパ世代にとっての運動は、
- 見た目を良くするため
- 筋肉をつけるため
ではなく、
- 働き続ける体を保つ
- 家族との時間を削らない
- 将来の不安を減らす
ための生活インフラに近いものです。
だからこそ、
追い込む必要はありません。
続かない方法を選ぶ必要もありません。
まとめ|「やらない自由」は、これから高くつく
これからの日本では、
- 医療費は上がる
- 自己管理の比重は増える
- 不調は自己責任になりやすい
この流れは、ほぼ変わりません。
だからこそ、
運動は「余裕ができたらやるもの」ではなく、
未来のコストを下げるための選択になっています。

