(2025/12/16作成)
「最近、明らかに疲れやすくなった」
「昔はもっと動けていたのに、今は休日もだるい」
子育て中のパパから、こうした声を本当によく聞きます。
多くの人は、ここでこう考えがちです。
「年齢のせいかな」
「運動不足だから仕方ない」
ですが、それは半分正解で、半分間違いです。
私は看護師として10年以上、急性期・救急の現場を経験し、同時にパーソナルトレーナーとして多くの一般の方の身体も見てきました。
その立場から断言できるのは、
子育て中に体力が落ちる原因は、単なる筋力低下ではないということです。
こに記事では
- なぜ子育て中に体力が落ちるのか
- その正体を医学的に整理し
- 今日から意識すべきポイント
を解説します。
結論:体力低下の正体は「筋力」ではなく「回復力の低下」
まず結論からお伝えします。
子育て中のパパが感じる体力低下の最大要因は、
「回復力(リカバリー能力)」の低下です。
ここでいう回復力とは、
- 睡眠で疲労を回復する力
- 自律神経を整える力
- ホルモンバランスを立て直す力
これらを総合した身体機能のことです。
筋力は多少落ちていても、回復力が保たれていれば「動けない」とは感じにくい。
逆に、筋力がそこそこあっても、回復力が落ちると一気にしんどくなります。
理由① 睡眠の質が慢性的に低下する
子育て中、特に小さい子供がいる家庭では、
睡眠時間よりも「睡眠の質」が大きく低下します。
- 夜中の授乳・夜泣き
- 子供の物音への覚醒
- 早朝起床
これらはすべて、深い睡眠(ノンレム睡眠)を分断します。
医学的には、
- 筋肉の修復
- 成長ホルモンの分泌
- 脳疲労の回復
は、深い睡眠中に集中的に行われることが分かっています。
つまり、
寝ている時間は確保できているのに疲れが取れない
という状態が起こるのです。
理由② 自律神経が「常に戦闘モード」になる
子育て中のパパは、無意識のうちにずっと気を張っています。
- 仕事
- 家庭
- 子供の体調や安全
この状態は、自律神経でいうと交感神経優位が続いている状態です。
交感神経が優位になると、
- 心拍数上昇
- 血圧上昇
- 筋緊張増加
といった反応が起きます。
短時間なら問題ありませんが、
慢性的に続くと、身体は休めなくなります。
これが、
- 常にだるい
- 休んでも回復しない
- 些細な動作で疲れる
といった感覚につながります。
理由③ エネルギー効率が落ちている
体力が落ちたと感じる人の多くは、
「運動しなきゃ」
と考えます。
もちろん運動は大切ですが、問題はやり方です。
睡眠不足・自律神経の乱れがある状態では、
身体はエネルギーを効率よく使えません。
結果として、
- 同じ動作でも疲れる
- 以前より息が上がる
- 回復に時間がかかる
という悪循環に入ります。
この状態で無理な筋トレをすると、
「頑張っているのに、どんどんしんどくなる」
という現象が起きます。
「筋トレすれば解決」は危険な誤解
ここは非常に重要なポイントです。
体力が落ちた=筋トレ不足
この短絡的な考え方は、子育て中のパパには逆効果になることがあります。
- 回復できない
- 疲労が蓄積する
- 腰痛・肩こりが悪化する
こうして運動自体が嫌になり、完全にやめてしまう。
これは現場で何度も見てきたパターンです。
今すぐ意識すべき3つの優先順位
では、何から始めればいいのか。
答えはシンプルです。
① まず「回復」を整える
- 寝る直前のスマホを減らす
- 寝室環境を整える
- 休日の寝だめをやめる
② 緊張を抜く動作を入れる
- 深呼吸
- 軽いストレッチ
- ゆっくりした動き
③ 運動は「軽く・短く」
- 1日5分で十分
- 息が上がらない強度
- 習慣化を最優先
これだけで、体感は確実に変わります。
まとめ|体力低下は「あなたの弱さ」ではない
子育て中に体力が落ちるのは、
環境要因がほぼすべてです。
あなたの意思が弱いわけでも、
年齢のせいでもありません。
大切なのは、
今の生活に合った整え方を選ぶこと
次の記事では、
「忙しいパパでも安全にできる運動の基準」を、
医療職の視点で具体的に解説します。
無理に頑張らなくていい。
でも、正しく整えることはできます。

