今回紹介する本は、「イン・ザ・プール」など有名な作品を数多く書いている、奥田英朗の作品。
人間ドラマを書いた作品ですね。
その名も
無理
では、まず著者の紹介から行きましょう。
<著者紹介>
奥田 英朗
1953年 岐阜県生まれ。
プランナー、コピーライター、構成作家を経て作家に。
著書に『邪魔』、『空中ブランコ』、『家日和』、『最悪』、『ララピポ』など他多数ある。
スポーツにも造詣が深く、スポーツを題材にした作品も多数ある。
<内容>
合併で生まれた地方都市、ゆめの。
そこで暮らす、五人の男女。
仕事にやりがいを見出せず、娯楽にふける30代の公務員。
東京の生活に憧れる女子高校生。新興宗教にすがりながらわびしい生活を送る中年女性。
暴走族上がりの悪徳セールスマン。野望に燃える市議会議員。
彼らは生活に鬱屈と閉塞感を感じながら生活し、どこか満たされていない。
そんな縁もゆかりもない彼らの生活が、ひょんなところから交錯し驚きの展開を迎えることとなる。
<感想>
真面目に働こうと思える度:☆☆☆☆☆
正直、読み終わった後の後味の悪さは否めない。
ゆめのという架空都市で繰り広げられる、この人間模様はどこか生々しく、ねっとりと肌につきまとう。
登場人物の誰もが、変えようのない現実に不満を持っており、その変えようのない現実に飲み込まれていく。
もがけばもがくほど蟻地獄のように沈んでいき、「誰か頼むから幸せになってくれ」と読んでいて思ってしまう。
ラストの場面では、『おいおい嘘だろ⁉︎』と思わずつぶやいてしまうほど衝撃的。そこは流石に物語性が強いなと思うが、どちらにしてもなんともいたたまれない気分になる。
登場人物の不幸は、決して小説の中の世界だけではなく、とても身近なもののように感じられるほどリアル。
少しの気の迷い、出来心、自棄、そんな簡単なことで踏み外してしまうような事で、現実の自分にも降りかかるのではないかと感じるほど。
不幸にリアリティがあり過ぎてテンションが若干下がる。
それとともに真面目に働くことは大切だと、個人的には感じてしまった。
リアルな不幸、思わず『無理』と言いたくなるような身近で遠い世界に入り込みたい人にオススメです。
以上短かかったですが、今回の本紹介でした。
今後は週に2回ほど本について更新したいと考えています。ではまた次回。